オフショア銀行とは

オフショア銀行とは、口座を開設した人の多くが非居住者の銀行のことです。オフショア銀行を利用するということは、広義の意味で海外口座を開設するということで、そのためオフショア銀行と海外口座は同じ意味として使われることがあります。

しかし、課税が無税か低税率の国や地域、タックスヘイブンにある銀行のことを指して特にオフショア銀行といわれることが多いようです。

2016年に公開されたパナマ文書によって、企業や富裕層が課税が無税か低税率のタックスヘイブンに資金を移すことによって租税回避していたことが明らかになり大きなニュースになったため、ニュースを見たという人も多いでしょう。

企業が税金逃れのためにタックスヘイブンを利用していたことがニュースで大きく取り上げられたこともあって、オフショア銀行やタックスヘイブンに対して、マイナスイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、海外口座の開設は税金逃れのためだけに開設するものではなく、オフショア銀行の口座開設は合法的なことであり、様々なメリットから企業や富裕層ばかりではなく、利用者が多くなっているといいます。

海外口座のメリット

海外口座の一番のメリットというと、金利が高いということでしょう。日本では長い間、低金利、ゼロ金利といわれる状態が続いています。例えば普通預金の金利は0.001%ですから、預金額が1,000万円であっても、1年間の金利は100円にしかならない状態です。

デフレ以前には「銀行に1億円を預金すれば金利で生活ができる」といわれていたこともありましたが、現在の状況では銀行に預金をしても金利で資金を増やすことはまったくといってよいほど期待できない状態です。しかし海外口座の場合、日本よりも高金利であることが多いため、海外口座を利用することによって日本よりも大きなリターンを得ることができます。日本の銀行に預金するより、海外口座に預金をした方がお得なのです。

しかし、あまりに金利の高い国の場合は注意が必要です。オフショア銀行は海外から資金を集めることを目的とした銀行であり、金利が高いということは、高金利で資金を集めなくてはならないという事情があることを示しています。そのような状況の国の場合、政変などによって銀行が倒産し、資金の回収ができないといったリスクもあります。海外口座を開設する場合は、政治的、そして経済的に安定している国の口座を開設することがポイントです。

金利以外に、海外口座を開設することによって日本にはない金融商品を利用したり、サービスを利用することができるのもメリットです。オフショア銀行では世界中のどこのATMでも使用することができるでもデビットカードを扱っています。そのため旅行や海外出張、留学などで急にお金が必要になった場合に便利です。

海外口座の開設は、日本が財政破綻したときに資産を守ることができるといったメリットもあります。戦後に起こった預金封鎖といったことは現在では考えづらく、現在のところ日本が財政破綻する可能性は低いといわれています。

しかし、地方銀行などでは、経営状況が不安定なところもあるという話は聞かれますし、国の借金の総額が、1,000兆円を超えている状況です。そのため2009年に起こったギリシャ危機のようなことが日本では絶対に発生しないとはいえない状態です。海外口座の開設は万が一のときに資金を守る備えになります。

そのほかにも海外口座は為替変動のリスクヘッジにもなります。日本円だけで資産を保有している場合、相場の大きな変動によって円の価値が下がったとき大きな損失を出してしまう場合があります。しかし、海外口座を開設して資金を外貨でもっていれば、損失を抑えることができます。そして一方で、相場にあわせてしっかりとした判断による取引を行えば、大きな利益を期待することもできます。